カーボカウントな日々

血糖値を上げるのは炭水化物(カーボ)です。炭水化物さえ摂らなければ血糖値はほとんど上がりません。 今、世界の糖尿病治療は、食事の炭水化物をコントロールするカーボカウンティングが主流となっています。

炭水化物の質

2008 - 09/19 [Fri] - 15:46

杉本先生のブログに面白い提案がありました。同じ45gの炭水化物をご飯やパンで摂った場合と、牛乳や果物で摂った場合では、血糖値の上がり方にどの程度の違いが出るか調べてみようというものです。

50gの炭水化物を含むある食べ物が、どのくらい血糖値を上げるかを指標にしたものがグリセミックインデックス(GI)で、たとえばパンは95、米飯は70、牛乳は34、梨は32となっています。

ですから、パンを100g食べたときと、牛乳を1000cc飲んだとき、どちらも摂取カーボ量は50gとなりますが、血糖値の上がり方はパンの方が3倍近く高いということになります。

ただしこれは、インスリンが素早くたっぷり出て、血中グルコースをさっさと片付けてくれる健常者の話。インスリンの出が遅いわ少ないわの糖尿病患者はどうなんだろうというのが今回の実験です。

実験はいずれも朝の最初の食事で行いました。私の場合、この時間帯がもろもろの影響を一番受けにくいからです。

最初の日は牛乳300ccと梨250g。併せてカーボ量45gで実験。(炭水化物:45g、脂質:15g、たんぱく質10g)
牛乳と梨

血糖値の推移はこんな感じになりました。
血糖推移1


2日目は食パン90g。これもカーボ量45gです。前日の食事と脂質量を揃えるため、マーガリンで調整しました。それだけじゃ喉を通らないのでブラックコーヒーもプラス。(炭水化物:45g、脂質:15g、たんぱく質:8.5g)
トースト

で、血糖値はこんな感じ。
血糖推移2



この2つの血糖値推移をグラフにしたのがこれ。
血糖推移グラフ

このグラフが描く上昇分の面積を比較したものがグリセミックインデックス(GI)です。本当なら積分的に図形を縦に分断して、三角形と台形の面積を足せばいいのでしょうが、今後のデータとの比較分析がしやすいように、図形をほぼ三角形とみなし、血糖値が元に戻るまでの時間を底辺、血糖値の上昇分を高さとして、底辺(時間)×高さ(血糖値)÷2で面積を出してみます。

牛乳と梨 : 90分(底辺)×44mg/dl(高さ)÷2=1980
マーガリントースト : 180分×86mg/dl(高さ)÷2=7740

1980÷7740≒0.26


ということで、マーガリントーストを100とした時の牛乳+梨のGI値は26ということになります。同じ炭水化物でも乳糖や果糖は血糖値が上がりにくいというのは、私の体にも当てはまるようです。

糖質制限食を提唱する江部先生は、糖尿病患者はGI値が低くても糖質の分だけ血糖値はしっかり上がると言いますし、アメリカ糖尿病協会のガイドラインでも、炭水化物の質やGI値は考慮せずに、炭水化物量だけでカーボ量をカウントするとしています。

しかし、少なくとも私の場合に限って言えば、GI値はかなり考慮に値すると言えそうです。

●杉本先生の書かれた本です





 コメント

カステーラさん

食パン美味しそうですね★

私は最近初めてコメダで朝食を食べました!
コーヒーに卵とパンが本当についていてびっくりしましたがやはりパンが美味しそうに焼けていて主人の分ももらい1枚食べましたが相当血糖あがっていたでしょう・・・


先日病院での血糖の値は111でした。
私の測定器136.先生の測定器107だったので私のは25も高く表示されたことになりました。
カステーラさんのはもっと高く表示されるんですね。

コメント書きたくても高度な話すぎて(笑)・・
ゆっくりですが本も読んで勉強しています!
カステーラさんの実験も勉強になります。
いつもありがとうございます♪

先日の果糖シャーベットの記事から見ても
妥当な結果だとは思いますが、
GI値が高い方が遷延性低血糖が出やすいかと
思ったら違うんですね。

難しいですね。

お元気そうですね、すい臓君。

 うううう。カッコいいなあ……。
 牛乳&なし実験で、ちょっと早めに血糖値が上がっているのは、ナシに含まれているブドウ糖(グルコース)のせいでしょうかね。
 いろいろ考えることがあって、夜通し眠らず、昼間眠ったりしているので、普通の空腹時血糖値がみっともなく、単純カーボ実験ができずにいます。早く、決算処理を終わらせて、あたしもやろっと。事故、もとえ、自己センサーで、どらねこさんに教わった、果物の果糖(フルクトース)/ブドウ糖(グルコース)/スクロース比を計測してみたいのです。

興味深い実験です。
確かにパンの上昇の仕方は私も実感しています。

人それぞれの結果でしょうから、私も実験してみたいです。
小心者なのでカーボ20gくらいで・・・
GIもある程度は参考になるかもしれないのですね。

感動してます

 素晴らしい結果に、実は感動しております。
 近似値としては申し分ないですね。
 同一条件下でn数を増やした実験が出来たらなぁ。

 乳糖はともかく、果糖については長期的に見ると、小血管障害のリスクファクターになることも考えられるため、短期的な血糖コントロールだけに注目するのは危うい面もありますね。
 血糖をあげなければ良いという考え方は、糖尿病患者へのキシリトール点滴の危うさにつながりますので。
 もちろん、グルコース分をフルクトースに置換するのなら問題はなさそうですが。

 糖質の質にも注目した、糖質管理食が当面の目標になりそうです。

 次のエントリー、楽しみに待ってます。

 

 

初めまして。杉本先生のブログからたどり着きました。
目からうろこの情報が・・実験というものは凄いですね。食前に、ある程度、高くしておくと炭水化物をとっても押さえられる・・というのは、びっくりする情報です。
その人、その人でタイプが違うと言のはこのことなのですね。
杉本先生のブログにも質問させてもらったのですが・・
血糖検査器の針類などの処理は、やはり医療機関で破棄されていますか?
検査器は、ドラッグストアなので売っているのですが、聞くと、針類の処理はしていないようなのです。。
どうされているのかな、と思い質問させていただきました。

>ちゃんさん

さすがお目が高い!
近所の自家製パン屋のパンで、けっこう美味しいんです。

コメダってなんだろうとググったら、名古屋式の豪華モーニングセットを出す喫茶店なんですね。
うちの近くのシャノアールのセットもなかなかなんですが、糖尿になてからはほとんど利用してませんでした。
今度久しぶりに行ってみようかな。

空腹時血糖値が25違うって言うのはきついですね。
私も病院とはかなり誤差があったりするけど、まあ、高い分にはいいかなと思ってます。
でも、新しい測定器欲しいなんて、奥さんに絶対いえないし。

>sakeoniさん

そうなんですよ、私もトーストはもっと急激に下がるかと思ったんですが、低血糖にはるほどではありませんでした。
私の場合、反応性の低血糖を起こすためには、カーボ70gは必要のようです。

YCATさん

確かに、脂質量が同じということは、吸収遅延も同じだろうから、
立ち上がりの差は、梨のグルコースかも知れませんね。

> どらねこさんに教わった、果物の果糖(フルクトース)/ブドウ糖(グルコース)/スクロース比を計測してみたいのです。

そんな方法があるんですか?
あとで、どらねこさんとこ行ってみよ。

トキコさん

そうなんですよ、この実験で私もGI値をちょっと見直しました。

たしかに、玄米のGI値は白米の70%ぐらいだけど、これは面積比なので、線分比にしたら85%程でしかありません。
だから、血糖値の上がり方でみたら、そんなに違いはないんですよね。

どらねこさん

そうですね。
これからも、カーボ45gでサンプル数を増やして行きたいと思います。
ただ、朝食の45gは私にはちょっとキツイんですけどね。

> 果糖については長期的に見ると、小血管障害のリスクファクターになることも考えられる

初めて聞きました。
どういうメカニズムでそういうことになるんでしょう?


ぱそ犬さん

初めまして。

糖尿病患者っていうのは自分の体を使って人体実験ができるから面白いですね。
血糖測定器は趣味の道具としてはかなり奥が深いです。(笑)

針の処理はどうしてるんでしょうね。
一応、「適正に処理する」ということにはなってるんですが…。

 複雑系なので確実な事は言えないのですが、生化学に基づいて予測することは大切な事だと思っております。

よろしかったら、この記事読んでみてください。
 http://blogs.dion.ne.jp/doramao/archives/7387566.html



 

食パンにマーガリン(GI値31)を塗ると、食パンだけを食べた時よりも血糖値の上昇は下がるようです。(牛乳と梨も同様)

調理のしかた・食品の組み合わせでも随分異なるようです。
http://cgi.members.interq.or.jp/sapphire/satoshi/etc/glycemic.html

どらねこさん

なるほど。
分かったような分からないようなだけど、
果物別のブドウ糖、ショ糖、果糖比は大変参考になりました。

果糖の問題点(?)については、糖尿病ウォッチャーの河合さんのサイトで以前から読んでいました。
まあ、どんな食品も人間にとってはある意味毒な訳で、
特に代謝に問題のある人間は、どっちがましかということで選んでいかなくてはいけないんでしょうね。

モンチさん

脂肪には炭水化物の吸収を遅らせる作用があります。
まあ、薬でいあえばαグルコシダーゼ阻害薬みたいなもんですね。
そういう意味もあって、牛乳の乳脂肪と同じ分だけマーガリンを塗ってみました。
本当はバターが良かったんだけど、うちの近所のスーパーでは今もバターは置いてません。

教えていただいたサイトは、GI関連では一番信頼できると思っています。

カステーラさん

Diabetes Cafeの杉本です。
このたびは「デンプン vs 果糖、乳糖」にご協力くださり、貴重な体験データを提供していただき、本当に有り難うございました。
血糖曲線下面積で比較するというプレゼンスタイルにも感心しました。

今回は「食パン vs 牛乳+梨」対決であったわけですが、厳密に言いますと、300mlの普通牛乳には10gの蛋白質が含まれますので、この蛋白質によるインスリン分泌刺激作用の影響を除外することが必要になります。ブドウ糖と肉をそれぞれ単独で摂取したときに比べ、両者を一緒に摂取すると、蛋白質によってインスリン分泌が強く刺激され(ブドウ糖、肉それぞれを単独で摂取した際のインスリン分泌量の総和よりも多いインスリン分泌が観察されています)、混合食(ブドウ糖+肉)の方がそれぞれを単独で摂取する場合よりも、1時間以降、かえって血糖値が低くなる現象が観察されています。

このため、「デンプン vs 果糖」対決は単純な比較で済むのですが、「デンプン vs 果糖、乳糖」の場合には「食パンだけ」「フルーツだけ」「食パン+牛乳」「フルーツ+牛乳」という4通りの系が必要になるのかもしれません。

私たちが食べる食事は普通、炭水化物、蛋白質、脂質がさまざまな割合で混ざり合った混合食である上、カーボ・蛋白質・脂質の比率、調理法の影響、各個人のインスリン分泌能力、インスリン抵抗性、胃腸の消化機能など、さまざまな影響を受けますので、混合食の血糖値への影響を解析することは大変困難で、私自身分からないことだらけです。

このため今後も、非力ながら、こうした血糖値にまつわるブラックボックスを少しずつ明らかにしていきたいと思っています。これからもまた今回のようなお願いをすることがあるかもしれませんが、もしもご興味のあるテーマであれば、またご支援いただけたら幸いです。まずは御礼まで。

昨夜の書き込みに不正確な記述があったので、追記します。

>厳密に言いますと、300mlの普通牛乳には10gの蛋白質が含まれますので、この蛋白質によるインスリン分泌刺激作用の影響を除外することが必要になります。

実はさらに、牛乳の中に含まれる脂肪の影響も無視できません。
脂肪は炭水化物の消化吸収をかなり遅延させますので。。。
従って、正確には、得られた血糖値は、乳脂肪による炭水化物の吸収遅延と乳蛋白によるインスリン分泌刺激作用を合算した結果を見ていることになりますね。

本当に混合食の解析はとても複雑です。
私は現在、インスリン分泌不全の程度と食物の血糖値への影響の関係をもう少しクリアにしたいと思っていますが、自分の患者さんにあまり無理なお願いもできませんし、遅々として進みません。

それではまた。

コメントありがとうございます。

タンパク質のインスリン刺激作用については知りませんでした。また、そのような効果を実感したことはこれまでありませんでした。

ネットで調べてみたところ、タンパク質はインスリンとグルカゴンの両方の分泌を刺激する説はありました。それによると、まずグルカゴンが肝臓の糖新生を促がし、その糖をインスリンが処理するというもののようです。だから健常な人は血糖値にほとんど変化は現れません。

インスリンの分泌がほとんどない1型患者の場合、タンパク質でもそうとう血糖値は上がるという人はいますが、この説で説明が付くような気がします。

先生がおっしゃるタンパク質のインスリン促進作用と言うのは、これとは違うメカニズムなのでしょうか?

あと、乳糖&果糖vsでんぷんの比較では、ブログにも書いてありますが、脂質の量はマーガリンで揃えたつもりです。また、牛乳には10gのタンパク質が含まれますが、食パンにも8.5gのタンパク質が含まれており、両者の栄養成分とカロリーはおぼ同じものとなっています。

混合食の血糖値への影響は私も非常に興味があります。特に、酢飯は血糖値が上がりにくいというのはかなり実感するので、その辺はいずれ実験してみたいと思っています。

蛋白質の話

カステーラさんのコメントを読んで私もネット検索してみました。

アルギニンがグルカゴンや成長ホルモンの分泌を促すんですね。

蛋白質を摂取して、糖新生や筋肉合成を促進するホルモンが出る、これは、リーズナブルな話ですよね。
インスリンが出るのは2次的な話と考えられますね。


そのうち、蛋白質の血糖上昇の記事を書こうと思ってますが、その時にこの話も触れたいと思います。

話は戻りますが、この実験はそもそも牛乳と言う液体を使ってる時点で焦点がボケてると思いますが、いかがでしょう?

sakeoni1616さん

私もタンパク質の実験をやってみたいなと思っていました。
杉本先生が言うように、タンパク質が呼び水になるかどうかの実験です。

タンパク質がインスリンとグルカゴンをセットで刺激するなら、血糖値は変わらないか、我々インスリンの出が悪い人間はむしろ高くなる。
もし、インスリンだけを刺激するなら、血糖値は下がるはずです。

sakeoniさんの記事も楽しみにしてますね。

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プロフィール

カステーラ

Author:カステーラ
東京都在住、61歳。
2007年2月、糖尿病発症。
現在、服薬なしでカーボカウンティングという食事療法を実践中。
「カーボカウントってなに?」という方は、まずこちらから。

ヘモグロビンA1c(体重・BMI)推移
2007年2月:9.3%(64kg・22.9)
2007年3月:7.5%(62kg・22.2)
2007年4月:6.0%(60kg・21.5)
2007年5月:5.3%(58kg・20.8)
2007年6月:4.8%(57kg・20.4)
2007年7月:5.1%(57kg・20.4)
2007年8月:4.8%(57kg・20.4)
2007年9月:5.0%(58kg・20.8)
2007年10月:5.0%(57kg・20.4)
2008年1月:5.3%(56kg・20.1)
2008年5月:5.2%(56kg・20.1)
2008年7月:5.3%(55kg・19.7)
2008年10月:5.2%(58kg・20.8)
2009年1月:5.2%(58kg・20.8)
2010年7月:5.4%(58kg・20.8)





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