ローカロリー・ハイカーボ食
ちょっと前、NHKの「クローズアップ現代」で糖尿病の特集をやってました。コントロールが良くないまま放置し、ひどい合併症に苦しむ糖尿病患者の実態を扱ったものです。
その番組を見て思ったのは、間違った知識がいかに糖尿病患者を苦しめているかということです。
たとえば、医者から「甘いものは月に1度だけ」と指示されたある女性患者は、食事制限を頑張っているといいながら、具のほとんどない焼うどんのようなものを食べていました。本人は「これぞ理想の糖尿病食」ぐらいに思っているのでしょうが、私の経験でいえば、ショートケーキ1個より、焼うどん1皿の方がはるかに血糖値は上がります。実際カロリーガイドブックを見ても、焼うどんのカーボ量は65g、不二家のショートケーキは25gです。
もちろん、焼うどんの替わりに、毎日ショートケーキを食べるわけにはいきませんが、「甘いものは月に1度だけ」などという非人間的とも言える制約を与えておきながら、具のない焼うどんは野放しという医師の神経を疑ってしまいます。
私も最初の頃はそうだったのですが、カロリーを抑えろといわれると、どうしても脂質やたんぱく質を控え、炭水化物中心の食事になってしまいます。医者の言いつけを守って、努力すればするほど血糖値が上がるという、あまりに皮肉な結果です。
同じ量の炭水化物でも、炭水化物単独で食べるよりは、肉や脂と混ぜた方が血糖値は低く抑えられる、というのは経験上感じていることですが、実際どうなのかを実験してみました。
【1日目】
150gのご飯をお茶漬けにして食べます。
カーボ:57.4g(飯:55.6g、お茶漬けのもと:1.7g)
カロリー:264kcal(飯:252kcal、お茶漬けのもと12kcal)
【2日目】
150gのご飯を炒飯にして食べます。
カーボ:56.5g(飯:55.6g、ロースハム:0.5g、卵:0.4g)
カロリー:602kcal(飯:252kcal、ハム:74kcal、卵:141kcal、油:135kcal)
お茶漬けも炒飯もカーボ量はほぼ同じ。カロリーは1:2.3の差があります。私の予想ではお茶漬けの方が血糖の上がり方は早く、ピークも高く、下がるのも早い。逆に、炒飯の方が血糖の上がり方が遅く、ピークも低く、いつまでもだらだら高血糖が続くのかなと思っていたのですが、どうやら目論見どおりにはなりませんでした。
確かに、お茶漬けの方が炒飯より血糖の上昇が早いのですが、ピークは炒飯の方が上でした。さすがにこれだけカロリーに差があると、脂質やたんぱく質も多少は血糖値に影響を与えたのかもしれません。また、グラフの形から見て、お茶漬けは30分と60分の間に200超のピークがあった可能性もあります。
いずれにしても、お茶漬けと炒飯の血糖値に与える影響はほぼ同じと見ていいと思います。カロリーは2.3倍の違いがあるのにです。間違ったローカロリー・ハイカーボ食で、合併症をどんどん悪くしている糖尿病患者が、一日も早くいなくなることを願うばかりです。
コメント
ローカロリー・ハイカーボ食
私の場合、もう手遅れなのかも知れませんが、できるだけの事はやろうと思います。
これからも、いろいろと、勉強させてください…。
もし本当に糖新生が起きてるとすると、ただでさえ糖が吸収されないのに糖新生が起きて、ダブルパンチになるので、脂質と炭水化物を取るとピークが遅れて高くなることの説明になるような気がします。
shoさん
私はこれまでのいろんな経緯をみると、アメリカというのは常に正しい医療を先取りしているような気がします。逆に日本は権威主義が横行し、いつまでたっても古いやり方を変えられないような気がします。
まあ、患者がおとなしいのも原因のひとつかもしれませんね。患者の病気がよくならないのは、なぜか患者のせいにされちゃうのが日本ですから。アメリカじゃ、A1cが下がらないのは明らかに医師の能力不足だとされますからね。
えりさん
いずれにしても今回の実験は、たった一度のことですし、いろんな要素が絡んでこういう結果になったのだと思います。ひとつ言えるのは、血糖値を上げるのはカロリーではなく糖質量だということです。そのことを知るだけで、糖尿病患者はずいぶん楽になるんですけどね。
お医者様のダイエットのブログです。
グルカゴンとインスリン、糖質、たんぱく質などのことが
書かれています。
それと、下のサイトで、糖尿病患者ではインスリンが糖新生を抑制しない、と書かれていたので、合わせて考え、「糖尿病患者では脂質を取ると、食後すぐにでも糖新生が促進される」と考えてしまいました。
しかし、これらの考え方は他のどこにも見られないので、客観的根拠に乏しいのかも知れません。
http://hobab.fc2web.com/sub4-Liver.html
COCOさん
たんぱく質や脂質は、それ自体が糖に変わるわけではないけれど、グルカゴンの分泌を促すということなのですね。
一般の人はそれに応じてインスリンも分泌されるけど、糖尿病患者の場合はインスリンが不足しているので、グルカゴン優位となり、肝臓で糖の新生が起こると。
なるほど、それなら今回の事態も説明がつきます。
ただ、脂質やたんぱく質でも血糖値は上がるとしても、炭水化物による血糖値の上昇と比べたらはるかに低いものなのだとは思いますが。
いろいろ参考になる情報ありがとうございました。
えりさん
おっしゃる通り血糖値の制御というのはグルカゴンとインスリンのバランスで決まるものですから、もし、脂質やたんぱく質がグルカゴンの分泌を促すとしたら、インスリン不足の糖尿病患者にとっては、血糖値が上がる要因にはなるのでしょうね。
たとえば、人間が魚だけを大量に食べたような場合、栄養素は脂質とたんぱく質だけですから、本来、直後の血糖値はほとんど上がりません。しかし、脂肪のエネルギーはたっぷり入ってきたわけだし、たんぱく質はいずれ糖に変えることも出来るわけですから、体はご褒美として糖を放出するような仕組みになっているのかもしれませんね。
ちょうど、いつか現金化できる手形を貰ったとき、貯金を切り崩してちょっと贅沢するみたいな。
でも、魚と一緒にご飯を食べた場合は、インスリンが大量に出るので、糖の新生は起こらない。
これは手形と一緒に現金も入ったので、貯金には手をつけないみたいな。(笑)
人間の体ってうまくできてるもんですね。
ひょっとすると実際にイヌイットの伝統的生活では、その仕組みで糖を脳に供給していたかも知れないですね。
本当に人間の体はすごい仕組みですね。
勉強になります。
その後なんちゃって負荷試験やってみました。
ご飯(100g)+おかずいろいろで予想カーボ量60~70gぐらいでしょうか。
食後1H:186
食後2H:169
やっぱり高かったです。
「新毎日の食事のカローリーガイドブック」を買いましたので、
カーボカウントしていきたいと思います。
えりさん
そういうアンバランスな食事でも、けっこうなんとかなるように出来てるんですよね、きっと。
理奈さん
先に教えてもらった空腹時血糖値やA1cから見ると、ちょっと食後の血糖値は高いですね。だとすると、つい最近始まったの傾向なのかな。
「カロリーガイドブック」使いやすいでしょ? あれでいろいろ勉強してると、料理を見ただけで大体のカーボ量はわかってくると思います。
カーボカウントの結果もまた教えてください。
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