fc2ブログ
カーボカウントな日々

血糖値を上げるのは炭水化物(カーボ)です。炭水化物さえ摂らなければ血糖値はほとんど上がりません。 今、世界の糖尿病治療は、食事の炭水化物をコントロールするカーボカウンティングが主流となっています。

血糖値の理論と実際

2009 - 05/10 [Sun] - 16:27

私は常々このブログで、血糖値を上げるのは炭水化物であると言ってきました。砂糖だろうが、ご飯だろうが、炭水化物は炭水化物。摂取した量に応じて、同じように血糖値を上げると言ってきました。

昨日のエントリー「砂糖に換算すると」も、そういう思いで書いたものです。「素うどん一杯の中には、角砂糖17個分の炭水化物が含まれていますよ」、「素うどん1杯食べると言うことは、角砂糖17個食べるのと同じくらい、血糖値を上げるのですよ」ということが言いたかったわけです。

まあ、理屈はそうであっても、実際に検証してみないことには説得力はないだろうと、二日にわたって人体実験をしてみました。

【1日目】
加ト吉の冷凍讃岐うどんを刻みねぎだけで食べました。
素うどん

パッケージにあった成分表は以下のとおりです。
総カロリー:263kcal
炭水化物:56.1g
タンパク質:7.9g
脂質:0.8g

私は1回の食事のカーボ量を概ね40g以内と決めているので、56gというのはちょっとチャレンジングですが、そう珍しいことでもありません。

血糖値の推移は次のようになりました。

血糖値推移

カーボを56gも摂った割には、ピークも150台ですし、2時間後には2桁になると言う、非常に優秀な結果になりました。まあ、ちょっと反応性低血糖気味かなという推移でもあります。


【2日目】

1個3.3gの角砂糖を17個、お湯に溶かして飲みました。カーボ量はうどんとまったく同じ56.1g。とにかく強烈に甘くて、吐きそうになるのをこらえながら、なんとか全量を飲み干しました。
砂糖56gの水溶液

GI値で判断するかぎり、うどんより砂糖のほうが血糖値は上がりにくいはず…。という思いとは裏腹に、なんだか久しぶりに高血糖な予感。30分で満を持して測った血糖値はめでたく200超でした。

血糖値推移

ピークが高い分、下がるのも早いかと思ったらそんなこともなく、2時間経っても食前値を下回ることはありませんでした。

グラフにすると両者の違いは一目瞭然です。
血糖値推移グラフ

当初の予想を裏切る結果となりましたが、原因はいろいろ考えられると思います。

まず、今回食べたのは冷凍の讃岐うどんでしたが、非常に固くてコシもありました。パスタや中華麺のGI値は50前後とされていますが、コシのある讃岐うどんも同程度のGI値なのかもしれません。

また、讃岐うどんの場合は10分ほどかけて食べましたが、砂糖水はもっと短時間で飲み干しています。戦法において兵力の逐次投入は愚の骨頂とされますが、砂糖水の場合、兵力を集中投下したことで、体へのダメージはより強力になったものと思われます。

とりあえず、今回の実験で明らかになったのは、同じカーボ量でも、どういう方法で投入するかによって、血糖値への影響は大きく違ってくるということです。まあ、それがGI(グリセミックインデックス)とかGL(グリセミックロード)という考え方なんですが。

大事なのは、いかに消化に時間がかかるようにしてやるかと言うことです。まずは、良く噛んでゆっくり食べること。咀嚼にはインスリンの分泌を促す作用があるという研究結果もあるくらいですから。

そして、炭水化物単体ではなく、タンパク質や脂質を同時に取ることで胃や十二指腸での滞在時間を延ばしてやることです。今回の場合、うどんには約8gのタンパク質が含まれていました。

逆に言うと、コーラやファンタなどの糖の水溶液は、そうとう膵臓にダメージを与えているだろうことは想像に難くありません。たとえば、500mlのコーラには、今回の実験とまったく同じ、56gの糖分が含まれています。昔はそんなのも、1日2本も3本も飲んだような気がします。

いずれにしても、理屈通りに体は反応しないということですね。そして、血糖自己測定だけが真実を教えてくれると言うことです。





 コメント

カステーラさん
毎度実験、お疲れ様です。
うどんの血糖応答、うらやましいかぎりです。
私だったらインスリン6単位投与しないといけません。
投与なしでためすと400近くまで上昇します。
しかし消化時間、同時に摂取する物によっても
微妙に変化してくるとなるとますます
血糖計算泣かせの部分が見えてきて泣けてきます。

あごがくたびれるほどじゃなきゃ、同一条件にならんのかしら? 

 10分ってのは、けっこうよくかんだってことですよね? 
 たぶん通常の(早食い!時)私であれば、3分で飲み込んでいるでしょう。
 ……で、この結果。うううむ。

 確認事項。
 角砂糖実験の方は、カステーラさんの血糖収納/消費能力からすると、想定どおりだったってことでよろしいでしょうか? 
 となると(冷凍もののくせに)加ト吉の麺は、パスタ並みに手がかかっていたってのが私の推測になります。
 ……あるいは、単に乾燥させすぎ(干乾びていた)せい? 
 

カステーラさん
お疲れ様です。

カステーラさんから、アドバイスされ
血糖値自己測定を始めて1ヶ月が
過ぎました。
どこかで、まだ自分は境界型
糖尿病の入り口・・認めたくないと言う
気持ちがありました。
測ってみてどっぷり糖尿病とわかりました。
測る以前は、甘い物に手が出ていましたが、
買い物に行ってもセーブできるようになりました。

精神的に前向きになれない時もありますが・・・
カステーラさんのブログ見て
元気をもらっています。
ありがとうございます。

・・・なんか、残念。

こんにちは 今日は定期健診に行ってきました。
結果は
食前血糖値 147mg/dl HbA1c 5.4
半年前はヘモ値が7.8だったことを考えればコントロールは
かなり改善されてはいるのですが、主治医とのやりとりで
かなり「イラ!っ」としてしまいました。

この改善は炭水化物を意識した食事の結果だと自分なりに
はっきりと伝えたのにも関わらず、医師は
「あ・・あの、カーボンなんたら・・・・?・・えーと薬は今まで通り
でいいわね・・・」と薬を処方され結果として「自分が処方した薬
の効果が、この数値の改善につながった事」のように丸めこまれ
最後には「糖尿病食の基礎」みたいな冊子を渡されてしまいました。

カーボ・カウント或いは糖質制限を実践し良好なコントロールに
至った患者を妄想信者扱いにして、伝統的な糖尿病食を信じて
疑わない日本の医療の矛盾を目の当たりにした一日でした。
ま、検診はヘモ値の確認に行く程度のスタンスでいいとしても
要らない薬が処方されてしまうのは辛いです。

MAMORUさん

そうですね。
糖質60g程度を普通の食事として摂取する分には、この程度の血糖値で抑えられるくらい、耐糖能は回復してきているようです。
昔はざるそば一杯で、軽く200を超えていましたから。

やはり、発覚と同時にカーボカウントに取り組んだ効果だと、自分では思っています。

YCATさん

最近は、70gぐらいのカーボを普通の食事として摂る分には、血糖値が200を超えるってことはほとんどありません。
カーボが体に与える影響っていうのは、やっぱり量と吸収速度なんでしょうね。
砂糖の水溶液56gに対しては、明らかに戦力不足だったようです。
というか、そういう戦法に対して、経験不足だったということかもしれません。
ここ2年以上、炭酸飲料のような糖の水溶液をほとんど口にしてませんから。

それにしても、冷凍の讃岐うどん、けっこうコシがありますよ。
アルデンテのパスタと同程度のGI値と考えてもいいかも知れません。


とらさん

以前、とらっちの名でコメントをくれた方ですよね。

血糖値を測ると、現実が見えてしまいますが、
それをしないと、何をどのくらい食べたらいいのかが判らないので、
効率の悪い食事制限になってしまします。

甘いものも闇雲に我慢するのではなく、
ここまでは大丈夫と言う限界を把握すればいいと思うのですが。

私も糖尿病が発覚した年のバレンタインデーに
たった2片のチョコレートで血糖値が急上昇して、ブルーな気持ちになったものですが、
今では2片くらいでは血糖値はびくともしません。

大丈夫。半年間、膵臓を休ませればきっと耐糖能は改善しますよ。



ハンモックさん

HbA1cが5.4%の患者に、医者は何の薬を処方してるんでしょうね。
とりあえず、止めてみるとか、減らしてみるとか言う発想はないんですかね。
私なら「薬なしで様子をみたい」って言っちゃいますけどね。

私は、最初の数週間、アマリールというSU剤を処方されたけど、
飲んだ日も飲まない日も、血糖値はほとんど変化なかったです。
それよりも、炭水化物の量の方がはるかに影響力は大です。

薬には必ず副作用があること、
そして、糖尿病治療の基本は食事と運動だということを、
お医者さんももうちょっと理解して欲しいですね。



早速、お返事頂きありがとうございます。
とらっち。です。送った後、とらになっていたので
分かりにくかったでしょうに・・
お返事ありがとうございます。

病院の指導でカロリー制限した後に
カーボカウント始めたので
今、体重が46kgです。(165cm)
もともと痩せ型ですが・・・
痩せ過ぎた事もブルーになっていました。

朝と昼は、主食(1食炭水化物40gくらい)を
取り、食後2時間140以下をなんとかキープしています。

来月初めに会社の健診があるので
それから糖尿病の専門医か
娘の勤めている総合病院に行くか
考えています。
今まで行った2件の病院は、
口頭でのカロリー制限と
運動の指導しかなかったので・・
どこも一緒なのかな~とも
思いますが、前向きに向き合って行こうと思います。
カステーラさんのブログ見て・・
“大丈夫だよ。”て言って下さる言葉に
どれだけ励まされるか。
本当にありがとうございます。

ローカーボショップも楽しみに待っています。



とらっち。さん

痩せ形の糖尿病患者にとって、体重と血糖値のバランスをどう取っていくかは、
大切な問題だと思うのです。

私なんかは人生のほとんどを、ずっと太りたいと思って生きてきました。
だから、食べる量を減らして痩せれば、血糖値は良くなることは分かっていても、
痩せることによるダメージの方が、高血糖より大きかったりします。

私の場合に限って言えば、やはりカーボを極端に制限すると、体重はどうしても減ってしまいます。
脂肪や肉はいくら食べてもいいと言われても、そう喉を通るものではありません。

だから、とらっちさんと同じで、一食のカーボ量を40g程度、2時間で140を超えない、というのを目安に痩せすぎない食事をしています。それで、少しぐらいA1cが上がっても仕方ないと。

痩せ形の、どちらかというとインスリン分泌不足による糖尿病患者は、肥満のあるインスリン抵抗型の患者と比べて、心筋梗塞などの大血管障害のリスクは少ないだろうというのが、私の考えかたです。

病院はたぶんどこでもいっしょでしょうね。食事は交換表に基づいた、カロリー制限中心でしょうし…。

ただ、合併症が出始めたら、どんな病院にかかるかで、結果はかなり違ってくるというのはあると思います。

大事なのは、というか患者ができるのは、食事と運動で、食後の血糖値をコントロールすることだけです。頑張りましょう。

ご報告

やっぱり液体に溶けた糖質は怖いですね~。
糖尿病になってから糖質を含む飲物は一切口にしていませんでしたが、
先日グレープフルーツジュースを飲んだら、
インスリン注射したにもかかわらず、
かるぅく食後1Hで180を超えてました(^_^;)
最近、注射して1H で目標値140を下回らないことは無かったのですが・・・
液体は吸収が早いですねぇ。。。

先日検診に行ってきましたのでご報告を。
HbA1c 5.7%
先月より0.1%UPですが、まぁ気にするほどの事では無い!と(笑)
半年で7.8%→5.7%
病院を変えてから外食時以外食前インスリン注射もやめていることを考えたら、
5%台をキープできているのはすごいかも?

糖質制限食を知ってからは3食とも主食を抜き、糖質の多い食材はことごとく避ける生活を3ヶ月ほど続けていましたが、3ヶ月で体重が2Kg落ちて、
もともと太っていたわけではないので周りから心配されてしまいましたが、
今は食後1hで140以下を目標に炭水化物を取るようしたら、
あっという間に体重は戻りました。
でも、血糖値は下がりやすくなったと感じています。
実際、外食時、半年前と同じメニューを食べるときの食前インスリンの単位は減ってきています。
食事と運動でかなり改善されると実感しています。
はじめに掛かっていた医師には、
「あなたみたいにやせてる人は運動しても大して変わらない」なんて言われましたが(笑)

やはり、医師に対して疑問を抱く患者は多いようですね。
自分に合う医師に出会うのはなかなか難しい・・・。
今お世話になっている医師は、はっきりと
「食前インスリンは炭水化物の量で決めると良いですよ」
っておっしゃいます。
実際、炭水化物の量を意識するようになったらインスリン注射なしでの食事も可能になったし、
注射しての食事でも、食後高血糖、低血糖を起こすことはほとんどなくなりました。

一生もんの病気だからこそ、もっと勉強して、自分の体を理解しなくては!

かぁこさん

あれから、いろいろ実験を繰り返していますが、
やはり水に溶けた糖分が一番激しく血糖値を上げます。
ちょっとGIってものが解らなくってきました。

・3食主食抜きで周りが心配するくらい痩せたこと。
・血糖値と相談しながら糖質を増やしたら体重は戻ったこと。
・でも、血糖値は上がりにくくなっていること。

その辺は私の経過とまったく一緒ですね。
糖質制限で血糖値がある程度落ち着いてきたら、
糖質に体を慣らすことも必要だと思います。
一生、ご飯もパンも食べれないのは寂しいですからね。


> はじめに掛かっていた医師には、
> 「あなたみたいにやせてる人は運動しても大して変わらない」なんて言われましたが(笑)

カロリー制限にしても、運動にしても、今の糖尿病治療は痩せることで耐糖能を改善することしか考えてないですから。
食後の運動は、リアルタイムで血糖値を下げますし、運動による筋肉量の増加はインスリン抵抗性を改善します。
その辺が解ってないお医者さんも多いですね。

炭水化物と血糖値の関係も含めて、患者もですが、お医者さんももっともっと勉強して欲しいです。

コメントの投稿





管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://castela.blog104.fc2.com/tb.php/130-1545bec9

-

管理人の承認後に表示されます

 | HOME | 

プロフィール

カステーラ

Author:カステーラ
東京都在住、61歳。
2007年2月、糖尿病発症。
現在、服薬なしでカーボカウンティングという食事療法を実践中。
「カーボカウントってなに?」という方は、まずこちらから。

ヘモグロビンA1c(体重・BMI)推移
2007年2月:9.3%(64kg・22.9)
2007年3月:7.5%(62kg・22.2)
2007年4月:6.0%(60kg・21.5)
2007年5月:5.3%(58kg・20.8)
2007年6月:4.8%(57kg・20.4)
2007年7月:5.1%(57kg・20.4)
2007年8月:4.8%(57kg・20.4)
2007年9月:5.0%(58kg・20.8)
2007年10月:5.0%(57kg・20.4)
2008年1月:5.3%(56kg・20.1)
2008年5月:5.2%(56kg・20.1)
2008年7月:5.3%(55kg・19.7)
2008年10月:5.2%(58kg・20.8)
2009年1月:5.2%(58kg・20.8)
2010年7月:5.4%(58kg・20.8)





人気の糖尿ブログは
こちらに揃っています。
     ↓
人気ブログランキングへ
にほんブログ村 病気ブログ 生活習慣病(成人病)へ

管理者ページ

QRコード

QR

最近の記事


▼全ての記事を表示する

最近のコメント

カテゴリ

月別アーカイブ

関連サイト・ブログ

ブログ内検索

RSSフィード

おすすめ書籍

●カーボカウンティング実践ガイド
日本人の医師と栄養士と患者が書いた、“初の”と言っていい真のカーボカウンティングガイド。どちらかというとプロ、マニア向け。


●低糖質食の威力
やはり糖尿病を発症したお医者さんの書いた本。なぜ糖尿病になった医師はみな、学会のガイドラインを無視してローカーボに走るのでしょうか?


●糖質ゼロの食事術
炭水化物(糖質)はほとんど摂らないというお医者さんの本。この程度の糖質量でも立派に生きていけるという意味では貴重な実録(?)。


●糖尿病専門医にまかせなさい
日本では数少ない、カーボカウントを推奨する糖尿病専門医の本。我々カーボカウンターの心の支えとなる一冊です。


●主食を抜けば糖尿病は良くなる 実践編
やはり2型糖尿病患者であるお医者さんの書いた本。炭水化物が血糖値に及ぼす影響を理論的にわかりやすく解説してくれています。


●毎日の食事のカロリーガイドブック
日常よく口にする食べ物のカロリーはもちろん、炭水化物量までが写真と共に明記された、カーボカウンター必携の一冊。


●カーボカウント完全ガイド
カーボカウンティングの本場、アメリカの糖尿病協会から出版されたガイドブック。カーボカウントのすべてがこれ一冊で分かります。


●わたしはこうして糖尿病患者を救っている
糖尿病で失明する患者を数多く診てきた眼科医が書いた本。高炭水化物食を平気で勧める日本の糖尿病医療を厳しく批判しています。


●糖尿病最初の1年
アメリカの2型糖尿病患者が書いた本。糖尿病の主治医は自分であるという発想がいかにもアメリカ的。カーボカウントと血糖自己測定を基本とした最強の患者学が語られています。