学会トップに変化の兆し?
血糖コントロールにとって重要なのはカロリーではなくカーボであるという考え方は、患者レベルにはかなり浸透しつつあるような気がしますが、医者レベルではまだまだというのが実情のようです。
ところが最近、ちょっと気になる記事に遭遇しました。順天堂大学の河盛教授が『糖尿病ネットワーク』というサイトで書いた記事です。河盛教授といえば、以前、日本糖尿病学会の会長を務め、現在も役員名簿の2番目に名前を連ねるいわば学会の重鎮。今もそうとう影響力はあるはずです。
記事は糖尿病治療におけるトリグリセライド(中性脂肪)コントロールの重要性を説いたもので、その中でトリグリセライドを減らすための食事療法として次のように述べています。
前にお話ししたとおり、血糖コントロールはトリグリセライドを下げる方向へ働くので、食事療法の進め方も糖尿病の食事療法と基本的には同じです。ここでは特に重要なポイントをピックアップしてまとめておきます。
・炭水化物・糖分を摂り過ぎない
これも前回お話ししたことですが、トリグリセライドの日本語の名称「中性脂肪」には「脂肪」とついているものの、脂肪分の摂り過ぎだけでトリグリセライド値が高くなるのではありません。むしろ炭水化物の摂り過ぎが原因です。
炭水化物は体内で最終的にブドウ糖になり、それがエネルギーの源として使われ、余った糖分が「中性脂肪(トリグリセライド)」になります。トリグリセライドを上げないためには、余分なブドウ糖を増やさないようにすること、つまり、炭水化物や糖分を必要以上に摂らないことです。
さらに、 医療関係者向けの注釈の中では、次のように言っています。
糖尿病の食事療法の指導方法としては『糖尿病食事療法のための食品交換表』を用いる方法があります。『食品交換表』は便利な反面、やや難解なため、すべての患者さんが利用できるわけではありません。患者さんの理解力にあわせた個別指導が必要です。
栄養指導の‘初めの一歩’の段階では、「炭水化物を摂り過ぎをないようにするには、ごはんやパン、そば、うどんなどの『主食』の量に気をつけましょう」といった簡単なメッセージを伝えることが最も役立つこともあります。
つまり、トリグリセライドを下げる食事療法は糖尿病のための食事療法と同じで、最も重要なのは炭水化物を取り過ぎないことだと言っているのです。
さらに、食品交換表は一般の患者には難しいので、最初は「主食の量を気をつけるように」という指示が有効だとしています。これってまさに、食品交換表からカーボカウントへの脱却ですよね。
また、同じ『糖尿病ネットワーク』の中で、日本糖尿病協会の前理事長であり、現在、東北大学の名誉教授である後藤由夫氏も糖尿病の食事療法について次のように述べています。
ドイツの食事療法は炭水化物の量を中心に考えられており、その量はBrot Einheit(パン単位)として、パンの炭水化物量にすれば何単位かというものであった。近年は米国でも炭水化物のcarboと先の部分をとって呼び、これで炭水化物の摂取量を決めている。わが国では、交換表を用いるエネルギー中心の食事療法から抜け出せない状況なので、カーボ・カウントを受け入れるには年月がいると思われる。
(中略)
わが国では食品交換表ができてから40年以上にもなるが、患者さん方にはこの食事療法が覚えにくく複雑なようである。もっと簡単で使いやすいものに作り替える工夫と努力をするべきであろう。カーボ・カウント法が出てきたのでわが国でも考えみる必要があるのではなかろうか。
食品交換法を専門職の人たちは良く理解していても、これを利用される患者さんたちが手軽に利用できないのでは問題である。現在、改訂が進められている日本糖尿病学会編「治療ガイド」をみても、食事療法は従来のものと変わっていない。実情に即したものに替えることを考える時期に来ていると思われる。
これなんかもまさに、実情に合わない食品交換表などやめて、カーボカウントに移行せよというメッセージです。
トップの偉い先生たちも、やっぱり解ってはいるんですね。にも関わらず、学会の方針転換につながらないのは、なにか大きな力でも働いているのでしょうか? たとえば、製薬会社の圧力とか…。
非加熱製剤や乳房温存術が導入された経緯を見ても、日本の医療というのは変化を嫌い、従来のやり方に異常なほど固執する体質があると思います。それを打ち破るためには、やはり患者側が声を上げて、医療側を変えていくしかないのかもしれません。
●糖尿病性血管障害のより確実な抑止のために
http://www.dm-net.co.jp/tg/tg03-11.htm
●私の糖尿病50年
http://www.dm-net.co.jp/gotoh/2007/12/60.html
コメント
思ったよりも・・・
カーボカウンテイング普及も、そんなに遠くはない?
というような・・・12月号の糖尿病雑誌”さかえ”には、とうとう”カーボカウンテイングのメリット・デメリット”(仮)の特集があります。
さて、、、私的に期待出来るような記事なのか??
あまり期待しないで待とうと思います。
この記事のような見解が載せられるんではないかと私は思います。
シビアな内容かな・・・と私は思っています。
ちょここさん
お元気でしたか?
「さかえ」の12月号が気になって、思わず糖尿病協会の入会手続きをしてしまいましたよ。
「カーボカウントのメリット・デメリット」って、どんな感じになるんでしょうね?
メリットもあるけど、デメリットも多いので、まだまだ導入は先って話だったりして。
少なくともインスリン導入患者には、カーボを無視するわけには絶対行かないいんだけどね。
まあ、私も期待しないで待つことにします。
こんな記事が掲載されるようになったのですね。
しかし、同じページには高炭水化物のレシピがずらりと並んでおります。
問題解決型の人ばかりでは無いので、一般の人を混乱させる虞があるのではないかな・・・
それでも、この流れは大歓迎です。
栄養士の立場から考えると、前にも触れたお米信仰が立ちはだかります。食育はご飯食からという思い込みがあるので難しいですねぇ。
伝家の宝刀マクガバンレポート、アメリカではたいした認知では無いのにねぇ。
大学院では機会があれば同業者に宣伝しているのですが、反応は今ひとつです。
他の分野の方には受けが良いのですが・・・
どらねこさん
食事に占める3大栄養素の割合って、社会の富裕度が反映されると思うんです。食うのに精一杯の貧しい社会は炭水化物が中心になるし、ある程度豊かで食の選択肢が広がると、脂質やタンパク質の割合が増えてくる。今の北朝鮮の人たちがどんな食事をしているかを見れば一目瞭然だと思います。
民族の優位性を食にからめたい気持ちもわからないではないけど、医学とか栄養学という論点で語るからには、純粋に科学的な視点でとらえてほしいもんですね。
あら・・・
スミマセンです。
まぁ、中立的な記事になるでしょうから〜間違いなくね。
ひっくり返して急に、極端なことなんて書けないですもの。
でも良い兆しになることを願います。
受診時の、主治医との話題作りに良いなぁと思っています。
ちょここさん
カロリー主義からカーボ主義へは、一夜にして起こることはないでしょうね。
将棋崩しみたいに、焦らず、慎重に、ひとつひとつ持ち駒を増やしていく感じでしょうか。
ところで、主治医の先生はカーボカウントに理解があるのですか?
現状
今の主治医は・・・こんな感じ↓
http://pocharapid.blog87.fc2.com/blog-entry-574.html
まずまずでしょう。
ただ、今までの主治医の系列?が一緒なので、突き詰めて行くと・・・どうなるか??
でも今の主治医はわりと好きにやらせてくれるみたいなので、言いたいことを言えます。
基礎インスリン二回打ちも”やってダメなら元に戻せばいいことだし”って言ってくれて、私の思いを否定するのではなくて、まずは受け入れてくれたのが嬉しかったです。
だいたいの医者は自分のやり方に自信を持っていたりするので却下されるだろうと思ったから。
受診時には”炭水化物”という言葉は多く使うようにしていますよ(笑)それで様子を見ている所です。
ちょここさん
“炭水化物”って言葉を多用して様子を見るっていうのは、私と同じです。(笑)
お互い、気を遣いますよね。
でも、インスリンを使う以上カーボは無視できないっていうのは、
たいていのお医者さんは認めてるんじゃないですかね。
ネックは私みたいな食事療法のみの患者です。
まだまだ「甘いものと油ものはダメ」ってお医者さんが多いですから。
まあ、糖尿病学会の方針転換を待ちましょう。
はじめまして
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