食後高血糖と糖尿病
ここしばらくの間、糖尿病の最新情報ともご無沙汰状態が続いていましたが、久しぶりにADAを始めとする糖尿病関連サイトを覗いてみました。
たとえば、「運動する糖尿病患者ほど長生き」だとか、「笑いは心臓病のリスクを減らす」だとか、「アクトスは心臓ばかりか目にもよくない」とか、いろいろ興味深い記事はあったのですが、ひとつ気になったのは『糖尿病ネットワーク』にあった「食後高血糖は早期治療でα-グルコシダーゼ阻害薬が有効」という記事です。
ご存知のようにα-グルコシダーゼ阻害薬というのは「ベイスン」や「グルコバイ」として知られる糖尿病薬のひとつで、炭水化物の分解を阻害して、小腸での吸収を遅らせたり、一部は吸収されないまま大腸にまで追いやってしまう薬です。
本来は糖尿病患者の食後高血糖を抑える薬なのですが、もしかしたら糖尿病の発症そのものを抑える効果があるかもしれないということで、試験が行われました。
耐糖能異常があり、高血圧、高脂血症、肥満、糖尿病家族歴がある、いわば糖尿病予備軍を2つのグループに分け、片やα-グルコシダーゼ阻害薬を、片やプラセボ薬を投与し、48週間(約11ヶ月)にわたって様子を見たということです。
その結果、48週間の間に糖尿病に移行した人の数は、α-グルコシダーゼ阻害薬群で40%も低かったのだとか。食後高血糖の抑制は、糖尿病の発症をも抑制するということが、この実験から明らかになったわけです。
しかし、食後高血糖を抑える一番の方法は、炭水化物の量自体を抑えることです。100食べた炭水化物を、薬の力で80しか食べなかったことにするのなら、最初から80しか食べなければいいだけの話です。
私としては、α-グルコシダーゼ阻害薬を投与する群に加えて、カロリー比40%ほどの低炭水化物食群と、食後、積極的に運動をする群もぜひ加えて欲しかったと思います。
いずれにしても、食後高血糖を抑えることが糖尿病の発症を抑制する効果があるのだとしたら、低炭水化物食や食後の有酸素運動も、間違いなく糖尿病の発症を抑制するはずです。
不思議なのはなぜそれを薬だけに頼ろうとするかです。もしかして、薬じゃない方法で病気を防がれては困る事情でもあるのでしょうか?
砂糖に換算すると
最近、けっこう話題になってるサイトがこれ。1日に10万件のアクセスがあったとか。
http://www.sugarstacks.com/
ふだん何気なく口にしている食べ物に、どの程度の砂糖が含まれているかを視覚的に訴えようってことらしいけど、併設されたブログをみると、どうもあちこちから非難やら間違いの指摘をかなり受けているらしいです。
サイトの管理者によると、彼らは製品のパッケージやメーカーのホームページから成分表を調べ、そこに書かれた「砂糖」「コーンシロップ(ブドウ糖果糖液糖)」「果糖」「蜂蜜」などの成分を砂糖に換算して表示したとしています。つまり、舌に甘いと感じる単糖類、二糖類あたりのみを砂糖として表示しているのです。たとえば、彼らは『オレオ』というクッキーの一食分(34g)の砂糖を14gとしています。しかし成分表を見ると、『オレオ』にはトータルで25gの炭水化物が含まれてることになっています。つまり、14gの砂糖のほかに、食物繊維1gを除いた、小麦粉由来のデンプンが10g含まれているのです。
ところがこのデンプン、体の中でどんどん分解され、最終的にはブドウ糖として小腸から吸収されるので、体にとっては糖分となんら変わりないのです。いや、それどころか、砂糖はブドウ糖と果糖が半々、一方、デンプンはほとんどがブドウ糖になりますから、血糖値への影響という意味では、デンプンのほうが大きいのです。実際、食品の血糖値への影響を示すGI(グリセミックインデックス)でも、白パンは100、砂糖は60ということになっています。
アメリカ糖尿病協会によるカーボカウントの指導でも、砂糖はデンプンなど他の炭水化物と区別していません。砂糖で摂ろうが、パンで摂ろうが、玄米で摂ろうが、炭水化物は炭水化物。摂取量に応じて血糖値は上がるという考え方です。
ということで、「Sugar Stacks」のパクリですが、ふだん私達が食べているものには、砂糖換算でどの程度の炭水化物が含まれているかを写真にしてみました。(角砂糖1個は砂糖3.3gです)
■食パン(6枚切り)/炭水化物:30.7g
■白米飯(150g)/炭水化物:55.6g
■素うどん(1食)/炭水化物:56.1g
とりあえず、今日は素うどんの血糖推移を計測したので、日を改めて角砂糖17個の血糖値推移を調べてみたいと思います。結果はまたいずれ。
そうそう、杉本先生からの宿題もこの機会にやっちゃいます。
(注:比較はあくまで食物繊維を含んだ炭水化物量です。比較した両者がまったく同じように血糖値を上げるとは限りません)
血糖値の理論と実際
私は常々このブログで、血糖値を上げるのは炭水化物であると言ってきました。砂糖だろうが、ご飯だろうが、炭水化物は炭水化物。摂取した量に応じて、同じように血糖値を上げると言ってきました。
昨日のエントリー「砂糖に換算すると」も、そういう思いで書いたものです。「素うどん一杯の中には、角砂糖17個分の炭水化物が含まれていますよ」、「素うどん1杯食べると言うことは、角砂糖17個食べるのと同じくらい、血糖値を上げるのですよ」ということが言いたかったわけです。
まあ、理屈はそうであっても、実際に検証してみないことには説得力はないだろうと、二日にわたって人体実験をしてみました。
【1日目】
加ト吉の冷凍讃岐うどんを刻みねぎだけで食べました。
パッケージにあった成分表は以下のとおりです。
総カロリー:263kcal
炭水化物:56.1g
タンパク質:7.9g
脂質:0.8g
私は1回の食事のカーボ量を概ね40g以内と決めているので、56gというのはちょっとチャレンジングですが、そう珍しいことでもありません。
血糖値の推移は次のようになりました。
カーボを56gも摂った割には、ピークも150台ですし、2時間後には2桁になると言う、非常に優秀な結果になりました。まあ、ちょっと反応性低血糖気味かなという推移でもあります。
【2日目】
1個3.3gの角砂糖を17個、お湯に溶かして飲みました。カーボ量はうどんとまったく同じ56.1g。とにかく強烈に甘くて、吐きそうになるのをこらえながら、なんとか全量を飲み干しました。
GI値で判断するかぎり、うどんより砂糖のほうが血糖値は上がりにくいはず…。という思いとは裏腹に、なんだか久しぶりに高血糖な予感。30分で満を持して測った血糖値はめでたく200超でした。
ピークが高い分、下がるのも早いかと思ったらそんなこともなく、2時間経っても食前値を下回ることはありませんでした。
グラフにすると両者の違いは一目瞭然です。
当初の予想を裏切る結果となりましたが、原因はいろいろ考えられると思います。
まず、今回食べたのは冷凍の讃岐うどんでしたが、非常に固くてコシもありました。パスタや中華麺のGI値は50前後とされていますが、コシのある讃岐うどんも同程度のGI値なのかもしれません。
また、讃岐うどんの場合は10分ほどかけて食べましたが、砂糖水はもっと短時間で飲み干しています。戦法において兵力の逐次投入は愚の骨頂とされますが、砂糖水の場合、兵力を集中投下したことで、体へのダメージはより強力になったものと思われます。
とりあえず、今回の実験で明らかになったのは、同じカーボ量でも、どういう方法で投入するかによって、血糖値への影響は大きく違ってくるということです。まあ、それがGI(グリセミックインデックス)とかGL(グリセミックロード)という考え方なんですが。
大事なのは、いかに消化に時間がかかるようにしてやるかと言うことです。まずは、良く噛んでゆっくり食べること。咀嚼にはインスリンの分泌を促す作用があるという研究結果もあるくらいですから。
そして、炭水化物単体ではなく、タンパク質や脂質を同時に取ることで胃や十二指腸での滞在時間を延ばしてやることです。今回の場合、うどんには約8gのタンパク質が含まれていました。
逆に言うと、コーラやファンタなどの糖の水溶液は、そうとう膵臓にダメージを与えているだろうことは想像に難くありません。たとえば、500mlのコーラには、今回の実験とまったく同じ、56gの糖分が含まれています。昔はそんなのも、1日2本も3本も飲んだような気がします。
いずれにしても、理屈通りに体は反応しないということですね。そして、血糖自己測定だけが真実を教えてくれると言うことです。
砂糖vs食パン
先日行った、砂糖と素うどんとの負荷対決では、明らかに砂糖の方が血糖への影響大でした。もしかしたら、あの素うどんの結果が特異だったのかも知れないと、後日、もう一度素うどんで実験したのですが、ほぼ同じような血糖推移をたどりました。
少なくとも私の場合は、シコシコの讃岐うどんでカーボ56gを摂る分には、それほど心配することはないということのようです。
そもそも、スパゲティや中華麺、日本そばなどは意外とGI値が低いことが知られています。麺類は噛まずに飲み込むことが多いので、消化に意外と時間がかかるのかもしれません。あるいは、小麦粉をこねて延ばしてを繰り返すうちに、グルテンが独特の結合を起こし、それが糖の消化吸収を阻害するのかもしれません。
一方、同じ小麦粉製品でも、パンはブドウ糖と同程度の高いGI値を示すことが知られています。ということで、今度は食パンと砂糖との比較をしてみました。
実験のサンプルはスーパーで普通に売ってる食パン。100g当たりのカーボ量が48.5gということなので、115g食べました。これで、前回の砂糖水と同じ、カーボ量56gです。条件を揃えるために、なにも付けずに水だけで胃に流し込みました。すべて、食べ終わるのにかかった時間は10分です。
で、血糖値の推移はこうなりました。
讃岐うどんのときとは明らかに違う動きです。砂糖水と比べて、ピークは遅いものの、いつまでも高血糖が続いています。グラフにするとこうなります。
ピークは砂糖水の方が高いものの、グラフの曲線下面積で言えば、食パンのほうが大きいです。GI値の高さで言うとはやり砂糖より食パンの方が上と言っていいと思います。グルコーススパイクということでは砂糖の方が急峻ですが。
このグラフを見る限り、先日のこの写真は、ほぼ真実を語ってると言っていいのではないでしょうか。
毒を食らわば皿まで
同じカーボ量なら、砂糖より食パンの方が血糖値への影響は大きいと言うのは、先日の実験で解明されました。唯一つ残ったご飯がどうなのか、どうしても知りたくて、これも実験敢行です。
ご飯150g、カーボ量にして56gをお茶漬けで食べました。永谷園の鮭茶漬けには、カーボ量が1.7gありましたが、その辺は誤差の範囲内ということで無視です。
血糖値の推移がこれ。
砂糖水と比べるとピークは低いですが、やはり下がり方はにぶいです。
これまで実験した、砂糖、パン、米飯(お茶漬け)、麺(素うどん)の血糖値推移をグラフにすると、こんな感じになりました。

GI値算出の基準となる曲線下面積でランキングをつけると、
食パン>お茶漬け>砂糖水>素うどん
という結果になりました。なんと、一般に言われているGIとまったく一致しています。
ここでちょっとした情報操作というか、私の仮説をより強力に補強するために、あえて1時間後と2時間後の血糖値だけをグラフにしてみました。

曲線下面積のランキングは変わらないものの、それぞれの食材の血糖値への影響がよりはっきりしてきます。
とうことで、血糖値への影響と言う意味では、先日のこの写真もまさに真実だったわけです。

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