fc2ブログ
カーボカウントな日々

血糖値を上げるのは炭水化物(カーボ)です。炭水化物さえ摂らなければ血糖値はほとんど上がりません。 今、世界の糖尿病治療は、食事の炭水化物をコントロールするカーボカウンティングが主流となっています。

糖尿病食の歴史

2008 - 04/09 [Wed] - 14:43

糖尿病というのは消化吸収されたブドウ糖の処理がうまくいかなくなる病気です。ブドウ糖の元になるのは炭水化物ですから、その炭水化物の摂取に慎重になるのは当然のことなのですが、日本のお医者さんの多くはカロリー制限一辺倒で、炭水化物についてはほとんど言及しません。

日本の糖尿病患者の食事療法は「食品交換表」を基準にしているため、糖尿病患者は基本的にカロリーの60%を炭水化物から摂取することになります。これは、今の日本人の食生活においては、むしろ高炭水化物食といっていいレベルです。

なぜこのような理不尽がまかり通っているのか、その謎を解き明かしてくれる文章を見つけたのでここに引用したいと思います。

出典は『糖尿病・最初の一年』(グレッチェン・ベッカー 著、 太田 喜義 訳))です。翻訳独特のわかりにくい文章表現だったので私なりに推敲してあります。


糖尿病患者はインスリンが十分作れないために、血糖値を正常に保つことができません。とくに炭水化物を摂ったときにその傾向は顕著です。にもかかわらず、なぜ多くの医師や栄養士は「たくさんの炭水化物を摂れ」と指示するのでしょうか。なぜアメリカ糖尿病協会(ADA)は「炭水化物は最高の栄養素」と言うのでしょうか。

この疑問に答えるためには、糖尿病食の歴史について学ばなければなりません。

まだ誰も糖尿病の原因が何なのかが解らなかった時代、糖尿病患者には大量の炭水化物が与えられました。大量の糖が尿から失われるのだから、大量の糖を補給する必要があると考えたのです。

インスリンが発見される直前の1900年代初頭は、超低炭水化物食が糖尿病患者の標準食でした。この食事で2型糖尿病患者の血糖値は低く保たれ、1型糖尿病患者の命を多少は長引かせることができました。

1920年代になってインスリンが発見されると、多くの糖尿病患者は正常に近い生活ができるようになったものの、彼らの標準食は依然として低炭水化物・高脂肪食でした。

インスリンのおかげで1型糖尿病の子供たちは大人まで成長することが可能になりましたが、彼らの多くは比較的若い年齢で心臓病により亡くなっていました。

1950年代、心臓病の発症は飽和脂肪を多く摂る人に顕著だという研究結果が発表されると、糖尿病患者に心臓死が多いのは、脂肪の多い食事のせいだと考えられるようになりました。

1979年、アメリカでは1型糖尿病患者の食事から脂肪を減らし、炭水化物を55~60%にまで増やすことが決定されました。増えた炭水化物による血糖値の上昇は、インスリンを増やすことで対応しました。

1988年、2型糖尿病患者に対しても同じような勧告がなされました。この時期、繊維質に富んだ高炭水化物食はインスリン抵抗性を下げ、食後の血糖値を安定させる効果が高いという研究結果が出されたからです。

インスリンを使わない2型患者にとって、炭水化物の増加は血糖値の増加を意味しますが、その当時、食後の一時的な高血糖は無害だと考えられていました。

しかし1994年、アメリカ糖尿病協会は高炭水化物食がすべての2型糖尿病患者に対してベストなものではなかったことを認め、炭水化物の一部を1価不飽和脂肪で置き換える食事療法を導入しました。炭水化物をどのくらい減らすかは個々の状況によるとし、適切な炭水化物量を探る方法として、カーボカウンティングが取り入れられました。

このような変化にも関わらず、今なお患者に大量の炭水化物摂取を勧める医師や栄養士は数多くいます。

高炭水化物食に移行するきっかけとなった研究は、本来、多くの繊維質をとるための炭水化物食であったはずなのに、いつの間にかパンや米やシリアルが糖尿病にいいものという誤解を与えてしまいました。

また、大量の脂肪摂取が心臓死を招くとする研究も、厳密にいえば大量の飽和脂肪なのです。オリーブ油(1価不飽和脂肪)をたっぷり摂るギリシャでの心臓死は決して多くありません。また、大量の飽和脂肪を摂る集団は、大量の炭水化物を摂る集団であることも忘れてはいけません。

このように、本来は「高繊維&低飽和脂肪」がベストな食事だったはずが、いつのまにか「高炭水化物&低脂肪」がいいというように勘違いされてしまったのです。

最近の研究では、食後2時間の血糖値が、将来起こる様々な問題の最も正しい指標であることが明らかになっています。血糖値の低い人たちの心臓死のリスクは低いのです。食後高血糖は問題ではないと言われた時代は終わりました。

もしあなたがインスリンを打っているなら、どんなに炭水化物を摂ってもそれに見合うインスリンを打てば問題ないと思うかもしれません。しかし、健康なすい臓が行う微妙な血糖コントロールを、インスリン注射で真似することは非常に困難です。炭水化物の量が増えれば増えるほど血糖値の上下は激しくなりますが、炭水化物を控えれば山と谷は平らになります。

糖尿病食の流行は振り子のように揺れ動いています。ちょっと前まで、多くの医師は60%から、場合によっては70%もの炭水化物を推奨しました。しかし今、振り子は反対側へ揺り戻しています。ボストンのジョスリン糖尿病センターは最近、炭水化物の推奨量を40%に下げました。さらに多くの医師や栄養士は、より低い炭水化物を処方する傾向にあります。

私たちはすべて、それぞれ固有の生理学を持っています。2型糖尿病患者の多くは、炭水化物を減らすことで血糖をうまくコントロールしていますが、中にはどんな脂肪もだめで、高繊維&低脂肪食が一番いいという人もいます。

重要なのは、何があなたに効くのかを発見することです。ある食事法がどういう結果をもたらすのか、血糖値はもちろん、血中脂質や血圧などを測定しながら検証することです。

食事を楽しみ、健康に生きましょう。



現在の日本の糖尿病食は今から20年前のアメリカのやり方を真似た物だったのです。そのアメリカでは14年前に、それがベストなやり方ではなかったことを認めています。

確かに総カロリーも重要です。しかし、糖尿病患者にとって栄養素のバランスはそれ以上に重要で、どれがベストなバランスなのかは個人個人の体質や病状、生活習慣によって違ってくるということを、日本の医療はなぜ認めようとしないのでしょう。

食品交換表というお仕着せをすべての患者に一律に適用するのではなく、医師と栄養士と患者がチームを組んで、それぞれの患者にもっともふさわしい食事を探って行ける日が、一日も早く来ることを願ってやみません。

スポンサーサイト



筋肉痛と血糖値

2008 - 04/15 [Tue] - 23:01

運動は基本的に血糖値を下げます。運動した直後に血糖値が下がるのはもちろんですが、運動後48時間ぐらいはGLUT4の活動が活発になるため血糖値が下がりやすい状態が続くと言われています。

しかし私の場合、運動した翌日とか翌々日あたり、起床時の血糖値がびっくりするほど高いことがあります。

今朝も血糖値を測ったら135mg/dlもありました。いつもより20mg/dlは高い感じです。思い当たる節があるとしたら、日曜日に久しぶりにやったゴルフの打ちっぱなしです。今日あたり上半身を中心にかなりの筋肉痛です。

最近、起床時血糖値が130を超えた日を見てみると、

2月11日(スキー翌々日) ⇒ 136mg/dl
3月3日(ゴルフ翌日) ⇒ 131mg/dl
3月11日(スキー翌々日) ⇒ 138mg/dl


どうやら、筋肉痛が起こるような激しい運動のあとは血糖値が上がるようです。しかも翌日よりも、筋肉痛がピークになる翌々日に高くなる傾向があるようです。

筋肉痛の原因は筋肉組織の損傷による炎症反応だと言われていますから、これも広い意味でのシックデーですね。炎症による高血糖はインスリン抵抗性によるものなので、食後の血糖値も当然高くなります。今日の昼食もカーボ量約50gで食後1時間が177mg/dlでした。いつもより20は高い感じです。

運動は血糖コントロールにプラスであることは間違いないはずですが、筋肉痛が起こるほどの激しい運動には気をつけたほうがいいのかもしれません。

ステッパー 一覧

エアロバイク 一覧

4年前の血糖値

2008 - 04/21 [Mon] - 15:59

本棚を整理していたら、50歳の時にやった節目検診の結果が出てきました。平成16年の9月とあるので、4年前のものです。

まず、目に付くのは総コレステロールの「294」。善玉のHDLは「50」と基準値に入っているものの、悪玉のLDLは「208」もあります。この値が尋常でないのは当時も認識していました。

問題の空腹時血糖値は「116mg/dl」、ヘモグロビンA1cは「5.6%」でした。

節目検診


判定は「要受診」とあったので、この結果を持ってかかりつけの医者に行ったのですが、コレステロールを下げる薬は出されたものの、血糖値については何も言われませんでした。

もしこの時点で、今と同じくらいの知識と危機感があったら、糖尿病になどならずに済んだかもしれないと思うと悔しくてなりません。

もし今の私が4年前の私にアドバイスできるとしたら、こう言ってやりたいです。


「普通の健康の人の空腹時血糖値というのは、大体80台からせいぜい90台に保たれているものです。それが一晩寝て起きて116もあるというのは、インスリンの分泌が不足しているか、インスリンが効きにくい状態になっていることは間違いありません。

ヘモグロビンA1cは最近1~2ヶ月の血糖値の平均を表すものですが、これも健康な人はきっちり4%台に収まっています。それが5.6%もあるというのは食後の血糖値が一時的に200ぐらいにまで上がっている可能性があります。普通に健康な膵臓を持つ人は、食後の血糖値が140をこえることはほとんどありません。

今はまだ糖尿病という名前が付くレベルではないですが、このままでは間違いなく糖尿病になりますし、糖尿病になると一生治癒することはありません。ガンでいえば、今はまだ手術で十分治る、ごく初期の段階です。どうかこの時期を逃さずに治療に専念してください。

治療の方法は食事と運動です。その治療効果を判定するためにも、まずは血糖測定器を買ってください。そして、食後2時間の値を測ってください。もし、140を超えていたらそれは食事の炭水化物が多すぎたということです。食後2時間で140を超えない炭水化物量を自分で把握してください。

運動は血糖値をリアルタイムで下げますから、食後の血糖値が高そうだなと思ったら、体を動かして下げるようにしてください。20~30分程度のウォーキングでもいいですが、5~10分程度の筋トレでも十分効果があります。

食後に限らず、運動で筋肉に刺激を与えることはインスリンの利きを良くしますから、有酸素運動と筋肉負荷運動を習慣づけることはとても大事です。

あと一つ、現在BMIは22と問題ありませんが、20代の頃と比べると10kgは太っていますよね。それが全部お腹に付いて、インスリンの利きを悪くしています。とりあえず、体重をあと3kg落してください。そのためにも過食、特に炭水化物の摂り過ぎには十分気をつけてください」



4年前、こんなことを言ってくれる医者に出会う可能性って、ほとんどなかったんでしょうね。

 | HOME | 

プロフィール

カステーラ

Author:カステーラ
東京都在住、61歳。
2007年2月、糖尿病発症。
現在、服薬なしでカーボカウンティングという食事療法を実践中。
「カーボカウントってなに?」という方は、まずこちらから。

ヘモグロビンA1c(体重・BMI)推移
2007年2月:9.3%(64kg・22.9)
2007年3月:7.5%(62kg・22.2)
2007年4月:6.0%(60kg・21.5)
2007年5月:5.3%(58kg・20.8)
2007年6月:4.8%(57kg・20.4)
2007年7月:5.1%(57kg・20.4)
2007年8月:4.8%(57kg・20.4)
2007年9月:5.0%(58kg・20.8)
2007年10月:5.0%(57kg・20.4)
2008年1月:5.3%(56kg・20.1)
2008年5月:5.2%(56kg・20.1)
2008年7月:5.3%(55kg・19.7)
2008年10月:5.2%(58kg・20.8)
2009年1月:5.2%(58kg・20.8)
2010年7月:5.4%(58kg・20.8)





人気の糖尿ブログは
こちらに揃っています。
     ↓
人気ブログランキングへ
にほんブログ村 病気ブログ 生活習慣病(成人病)へ

管理者ページ

QRコード

QR

最近の記事


▼全ての記事を表示する

最近のコメント

カテゴリ

月別アーカイブ

関連サイト・ブログ

ブログ内検索

RSSフィード

おすすめ書籍

●カーボカウンティング実践ガイド
日本人の医師と栄養士と患者が書いた、“初の”と言っていい真のカーボカウンティングガイド。どちらかというとプロ、マニア向け。


●低糖質食の威力
やはり糖尿病を発症したお医者さんの書いた本。なぜ糖尿病になった医師はみな、学会のガイドラインを無視してローカーボに走るのでしょうか?


●糖質ゼロの食事術
炭水化物(糖質)はほとんど摂らないというお医者さんの本。この程度の糖質量でも立派に生きていけるという意味では貴重な実録(?)。


●糖尿病専門医にまかせなさい
日本では数少ない、カーボカウントを推奨する糖尿病専門医の本。我々カーボカウンターの心の支えとなる一冊です。


●主食を抜けば糖尿病は良くなる 実践編
やはり2型糖尿病患者であるお医者さんの書いた本。炭水化物が血糖値に及ぼす影響を理論的にわかりやすく解説してくれています。


●毎日の食事のカロリーガイドブック
日常よく口にする食べ物のカロリーはもちろん、炭水化物量までが写真と共に明記された、カーボカウンター必携の一冊。


●カーボカウント完全ガイド
カーボカウンティングの本場、アメリカの糖尿病協会から出版されたガイドブック。カーボカウントのすべてがこれ一冊で分かります。


●わたしはこうして糖尿病患者を救っている
糖尿病で失明する患者を数多く診てきた眼科医が書いた本。高炭水化物食を平気で勧める日本の糖尿病医療を厳しく批判しています。


●糖尿病最初の1年
アメリカの2型糖尿病患者が書いた本。糖尿病の主治医は自分であるという発想がいかにもアメリカ的。カーボカウントと血糖自己測定を基本とした最強の患者学が語られています。