糖尿病宣告
2007年の2月、異様な喉の渇きと頻尿にただならぬものを感じ、かかりつけの医者に駆け込んだところ、即、糖尿病を宣告されました。
空腹時血糖値→250mg/dl
ヘモグロビンA1c→9.3%
確かにこれは疑う余地のない糖尿病です。
医者の指示は1日の摂取カロリーを1520kcalに抑えることと、アマリールという薬を服用することでした。
なにも分らない、まったくの手探りの状態から糖尿病との付き合いが始まりました。
血糖値が下がらない
最初のうちは、とにかく医者から言われた1520kcal以下を忠実に守りました。
朝はトーストと牛乳、昼はざるそば、夜はご飯とみそ汁にちょっとしたおかず。そんな食事で、カロリーは1200kcalそこそこの日が続きました。
しかし、薬局で買った尿糖試験紙は、いつも色見本の最高値を示す真っ青に染まります。薬も飲んでるし、カロリーだってしっかり制限してるのに、血糖値は一向に下がる気配がありません。
それもそのはず、軽いもの軽いものという意識でいたものだから、炭水化物ばかりの食事になっていたのです。今にして思えば、これでは血糖値も下がるはずがありません。
3冊の本との出会い
糖尿病との戦いを有利にすすめるためには、とにかく相手を知る必要があるだろうと、本やネットの情報に片っ端からあたりました。
まず最初に読んだのは『糖尿病は薬なして治せる』でした。自ら糖尿病になったお医者さんが、薬なしでいかに血糖値を下げるかの実践を本にしたものです。ここでは、血糖自己測定の大切さと、運動の大切さを学びました。
次に読んだのが『糖尿病専門医にまかせなさい』でした。日米の大学で糖尿病の研究をし、現在は開業医として糖尿病の治療にあたられているいる先生の書いた本です。この本では、「血糖値をあげるのは炭水化物である」という決定的な事実と、カーボカウントがアメリカの糖尿病治療の主流であることを知りました。
そして次は『主食を抜けば糖尿病は良くなる』でした。やはり自ら糖尿病を発症し、それをきっかけで知った糖質制限食によって素晴らしい治療実績を上げてきた先生の本です。糖質の制限でなぜ血糖値が下がるのか、そのメカニズムを丁寧にしかも理論的に説明してくれました。
この3冊の本によって、私の糖尿病に対する戦略はほぼ決まりました。「低炭水化物食」と「食後の運動」と「血糖自己測定」の三種の神器で、血糖値を徹底的に抑え込むというものでした。
血糖自己測定はじまる
『糖尿病は薬なしで治せる』の渡邊医師は「血糖値のコントロールに血糖値測定器は欠かせない」と断言します。また、『糖尿病専門医にまかせなさい』の牧田医師は「測定器さえ与えれば賢い患者はどんどん数値をよくしていく」といいます。どうやら、効果的な血糖値コントロールのためには、血糖値測定器はどうしても必要なようです。
早速ネットで手ごろなものを購入しました。指先以外の痛みの少ない場所からも採血できる、ニプロのフリースタイルという機種です。
はじめて計った血糖値は夕食後の260というものでした。その後、ステッパーを15分やったら131にまで落ちました。食べ物と運動の関係で血糖値が上下するのを観察するのが面白く、最初の頃は1日10回以上計っていました。
ひと箱3600円するセンサーチップが2日で終わります。それでも、この先一生の健康を考えたら安いものだと思えました。
ざるそばかステーキか
『糖尿病専門医にまかせなさい』の牧田先生によると、ざるそばは血糖値を上げるが、ステーキでは血糖値は上がらないそうです。
ためしに、ケンタッキーでフライドチキンとサラダを食べてみました。2時間後の血糖値は99でした。
3月3日のひな祭りには、恐る恐るちらし寿司を茶碗に一杯ほど食べてみました。血糖値は2時間経っても210でした。
確かに、炭水化物は血糖値を上げます。炭水化物を食べなければ、血糖値はほとんど上がりません。こういう現実を見せられると、もうカーボ(炭水化物)をカウントせずにはいられません。
血糖値急降下
食事の炭水化物の量を意識したら、翌日あたりから血糖値が急激に下がりました。それまで、常に真っ青に色が変わった尿等試験紙が、ほとんど色の変化をみせなくなったのです。
血糖値測定器が届いてから測りはじめた起床時の血糖値も、初めの頃こそ140台でしたが、一週間で110前後にまで下がりました。もちろんこの頃はまだアマリールを飲んでいましたが、健康診断でも糖尿と言われないレベルです。
最初の一週間で、食後血糖値が200を超えないための炭水化物量と運動量が分かってきました。この頃のデータを見ても、200を超えている日はほとんどありません。
低血糖がやってきた
薬の効果に疑問を持ちながらも、なんとなく惰性で飲んでいたある日のこと、朝食を食べて3時間後くらいに異変が起きました。
別に暑いわけでもないにの、額から冷や汗が出始めたのです。その時はまだ何も思わなかったのですが、やがて手も震えてきてさすがにおかしいと感じました。これが噂に聞く低血糖です。
すぐに砂糖を摂らなければと頭では思うのですが、なかなか行動に移せません。意識はしっかりあるのですが思考力が定まらず、気が付くとその場にボーっとたたずんでいるのです。
それでも何とか気力を振り絞り、冷蔵庫にあった砂糖入りのヨーグルトと午後の紅茶を飲んでなんとか事なきを得ました。
これできっぱり薬をやめる決心が付きました。アマリールを飲み始めて2週間目ぐらいのことでした。
一ヶ月目の診察
糖尿病発覚から1ヶ月目、診察と血液検査のため病院へ行きました。
空腹時血糖値101mg/dl、ヘモグロビンA1c7.5%でした。先生は「薬は効いているようですね、このまましばらく続けてください」と言います。
食事の炭水化物を抑えていること、食後血糖値もだいぶ下がっていること、低血糖が起こったことをなどを先生に話しましたが、先生はあまり興味がないようです。「薬やめてみようかと思うんですが…」と切り出すと、先生は「○○さんがどうしてもやめたいなら、やめてもいいですよ」と突き放すように言います。
さらに「低くなったとは言ってもA1c7.5ですからね。私はまだ飲んだ方がいいと思いますけど」というので、「わかりました、じゃあ続けます」と言うしかありませんでした。
ヘモグロビンA1cの値は半分が過去1ヶ月の数値を反映すると言われています。1か月前が9.3だったにもかかわらず今現在7.5だとすれば、この1ヶ月の数値は5.7ということになります。(7.5×2-9.3=5.7)
結局、ヘモグロビンA1cが7%台ならまだ投薬を続けるという、マニュアル通りの治療をしているんだということがよくわかりました。
病院からもらった処方箋は、そのまま捨ててしまいました。薬なしでもヘモグロビンA1c5%台に持っていく自信があったからです。
新しい先生を探して
糖尿病かもしれないと思い、最初に駆け込んだのはいわゆるかかりつけの町医者でした。基本的にはいいお医者さんだと思うのですが、やはり糖尿病に対する知識と経験という面では専門医に及びません。一ヶ月目の診察のあと、なんとなく医者を変えたいなという気持ちになっていました。
日本糖尿病学会のサイトには、全国の専門医の名前と病院がリストアップされています。エリアで検索をかけると、何人もの名前は挙がってくるのですが、治療方針など患者が本当に欲しい情報の手がかりはまったくつかめません。
糖尿病はこの先、一生付き合っていかなくてはならない病気です。少なくても私の場合、炭水化物を制限するという食事療法に理解のある先生でなければ、本当の意味での信頼関係を築くことはできません。
やはりあの先生しかないかなぁ、という思いがしだいに強くなってきました。
新しい先生とご対面
日本を代表する繁華街の片隅にその病院はありました。入り口をはいると、まず受付の女性の美しさに軽くカウンターパンチをくらう、そんなシステムの病院でした。
最初に採血と採尿をして、しばらくしてから診察室に呼ばれました。元大学教授ということで、ちょっととっつきにくいイメージ抱いていたのですが、実際会ってみると非常に気さくで話しやすい感じの先生でした。
これまでの血液検査のデータと毎日の血糖値の記録、そして炭水化物を制限していること、薬も自分の判断でやめてしまったことなどを伝えました。先生は「そのやり方で大丈夫です。A1cもまだまだ下がりますから安心してください」と太鼓判を押してくれました。「薬も飲む必要はありません」ときっぱり言われました。
そのあと、日本のこれまでの糖尿病治療がいかに間違っていたか、二人でひとしきり盛り上がってしまいました。私の糖尿病の未来に、少しだけ光明が射した気がしました。
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